決算概況

(単位 : 百万円)

2024/6

通期

2025/6

通期

前年同期比

増減額

前年同期比増減率(%)

売上高
19,008
24,771

+5,763

+30.3
営業利益
298

625

+326

+109.4

親会社株主に帰属する
当期純損益

-476

484

+961

 当社グループは「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、多様化する消費行動や様々な消費スタイルに対し、個々人そして一部の商品・サービスにおいては事業者や法人にまでその枠を広げ、インターネットを通じて最適な消費の選択肢を提供するべく事業を推進しております。
 当社グループは、2023年8月14日にローリング方式による中期経営計画を公表し、最終年度(2026年6月期)において売上高300億円、営業利益20億円の達成を目指してまいりました。これらの目標達成に向け、主として個人向けリユース分野の成長を推進し、拡大を続けるリユース市場におけるプレゼンス確立を目指してきたところでありますが、その後、中期経営計画策定時に想定していた外部環境や事業前提に変化が生じており、特にもう一つの成長の軸と位置付けていたマシナリー(中古農機具)分野においては、海上輸送等の問題から海外販売の動向が安定せず、足踏みが続いております。その結果、当初掲げた2026年6月期の中期経営計画目標(売上高300億円、営業利益20億円)については、現時点において達成が困難な状況となっているものの、モバイル通信事業が想定を上回る成長を遂げているほか、複数の事業分野において新たな成長機会が見えつつあります。このような状況下、当社グループは当連結会計年度において以下のような取組を行いました。

 ①ネット型リユース事業
  (個人向けリユース分野)
   ・商材、物量に応じた最適な買取チャネルの見直しおよび要員配置の最適化
   ・出張買取におけるコンサルティング営業の強化
   ・生産性向上を目的とした各種DX施策の推進(オートコールシステムのバージョンアップ、買取業務の一部省人化、一部業務へのAI導入による業務効率向上)
   ・主要商材(中古スマホ・タブレット)の買取強化による量的拡大
  (農機具分野)
   ・国内法人との取引規模拡大(国内向け展示商談会の実施等)
   ・海外越境ECサイトのユーザビリティ向上
  (おいくら分野)
   ・リユースプラットフォームとして収益基盤の拡充に向けたシステムバージョンアップ
   ・官民一体でのSDGsの実現(不要品の二次流通促進による廃棄物の削減および環境負荷軽減)に向けた地方自治体との連携
   ・新規加盟店の獲得に重点を置いた営業活動の実施
 ②メディア事業
  ・検索エンジンアルゴリズムに対応した掲載記事のメンテナンスおよびコンテンツの見直し、並びにモバイル通信および自動車買取に関する新規メディアの立上げ
  ・育成・当事業の再成長に向けた動画メディアへの進出
 ③モバイル通信事業
  ・認知広告のほか主にネット広告を通じた、ニーズにマッチしたシンプルでわかりやすい料金プランの訴求による新規回線契約獲得
  ・ユーザーの利用シーンと親和性が高いオプションプランの追加によるオプション付帯率の向上(回線あたり単価の向上)
  ・既存回線契約者に対するプラン変更(4G→5G・5GNSA→5GSAへのアップグレード)訴求によるユーザーの回線契約期間の長期化と解約抑止
  ・解約時における新たな収益機会の創出(解約理由に応じた新プラン案内等)

 これらの取組の結果、売上高は24,771,890千円(前期比30.3%増)、営業利益は625,635千円(前期比109.4%増)、営業外収益としてデリバティブ解約益を計上したこと等により経常利益は684,422千円(前期比1,593.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は484,710千円(前期は476,300千円の損失)となりました。

報告セグメントの状況
・ネット型リユース事業
 当セグメントでは、販売店舗を有せずインターネットに特化したリユース品の買取及び販売に関するサービスを展開しており、当社グループの基幹事業であります。
 買取においては「高く売れるドットコム」を総合買取サイトの基軸とし、商品カテゴリー別に分類された複数の買取サイトを自社で運営しております。販売において「Yahoo!オークション」はじめ、「楽天市場」、「Amazon」、「メルカリ」、自社ECサイト「ReRe(リリ)」など複数サイトへ同時出品し、インターネットを通じて商品を販売しております。主に「大型」「高額」「大量」といった、CtoC(個人間取引)では梱包や発送が難しい商品を取扱い、CtoBtoCというプロセスで当社が取引に介入することで、品質担保をはじめ、リユース品の売買に対して顧客に安心感を提供しております。近年ではこれらで培ったナレッジ・ノウハウを元に農機具分野へ参入し、国内のみならず農機具輸出事業を展開するなど、既存事業とのシナジーを活かして商材の多様化に努めております。また、リユースプラットフォーム「おいくら」(全国のリユースショップが加盟し、売り手である一般消費者と買い手であるリユースショップをマッチングするインターネットプラットフォーム)の基盤拡充に向けた施策を行っております。
 当連結会計年度の各分野における状況は、以下のとおりであります。

(個人向けリユース分野)
 前期に引き続き買取チャネルの最適化といった生産性向上策を進めるとともに、対応要員の再配置および要員あたりの生産性向上のためのDX施策をより一層推進しました。また、当期から本格的に業務へのAI活用の取組みを進め、業務効率化による利益体質の強化を推し進めました。こうした取組の結果、個人向けリユース分野における収益力は着実に向上し、当連結会計年度における収益進捗は順調に進みました。

(農機具分野)
 中古農機具については、依然として海外からの購買需要が底堅いことに変わりないものの、当連結会計年度においては夏をピークに起きた海上運賃の高騰により買い控えが生じその伸び率が鈍化しました。また、輸出における海上輸送の分野においていわゆるコンテナ船の抜港(船が入港予定だった港を飛ばすこと)が増加しつつあり、受注後出港待ち(売上計上待ち)の在庫が増加しました。このような状況に対処するため国内法人との取引拡大に注力しましたが、販売における国内外比率の見直しや商品利益率の管理体制の見直しといったオペレーションの再構築に想定より時間を要しており、当連結会計年度における農機具分野の業績は、減収減益となりました。

(おいくら分野)
 「おいくら」については、リユースプラットフォームとしての中長期的な収益基盤拡充に向けたシステムバージョンアップや官民協働でのSDGsの実現(不要品の二次流通促進による廃棄物の削減及び環境負荷軽減)に向けた地方自治体との連携を推進し、その連携数は当連結会計年度末日現在で、263自治体(前期比121自治体の増加)となり、人口カバー率(日本の総人口に占める連携自治体の人口合計)は42.6%となりました。こうした買取依頼件数増加のための取組みや自社オウンドメディアを活用した加盟店獲得策を取ったことから、加盟店数および売上高は引き続き順調に推移しました。

 これらの結果、売上高は12,461,458千円(前期比13.0%増)、セグメント利益は940,652千円(前期比69.6%増)となりました。

・メディア事業
 当セグメントでは、賢い消費を求める消費者に対し、その消費行動に資する有益な情報をインターネットメディアで提供するサービスを展開しており、以下の10メディアを運営しております。

 ・モバイル通信に関するメディア :「iPhone格安SIM通信」「SIMCHANGE」「カシワン」
 ・モノの売却や処分に関するメディア :「高く売れるドットコムMAGAZINE」「おいくらMAGAZINE」
 ・モノの購入に関するメディア :「ビギナーズ」
 ・モノの修理に関するメディア :「最安修理ドットコム」
 ・中古農機具の買取・販売プラットフォーム :「中古農機市場UMM」
 ・クルマに関するメディア :「カーウルトラ」「Motorz」

 当連結会計年度におきましては、前期に発生した、主にGoogle社が実施した検索エンジンのコアアルゴリズムの変更により、主要メディアの検索ランキングに影響が生じたことにより、全体としてのPV(ページビュー)数が大きく変動しました。こうした状況を受け当期においては、新動画メディア「Motorz」の展開をはじめ、検索以外での流入ルート確保にも取り組み、収益チャネルの多様化を図りはじめました。検索依存からの脱却を目的としたこれらの施策は効果を発揮しつつあります。しかしながら、前期末から現在にかけて被った検索トラフィックの減少が通期業績に与えた影響は大きく、前期比では減収減益となりました。
 これらの結果、売上高は566,167千円(前期比15.0%減)、セグメント利益は284,394千円(前期比17.1%減)となりました。

・モバイル通信事業
 当セグメントでは、連結子会社の株式会社MEモバイルが、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開しており、主力サービスとして、「カシモ(=”賢いモバイル”の略称)」というブランド名のもと、主にモバイルデータ通信のサービスを提供しております。
 当連結会計年度におきましては、メディア事業との連携強化により自社通信メディアからの送客を図るとともに、他社が運営するメディアの積極的活用を図ったことから、引き続き新規回線の獲得数は好調に推移しました。一方で、解約理由の分析を進めることにより新たにWiMAXから光回線への切替案内を開始するなど、解約時における収益機会の創出を図りました。また、ユーザーの利用状況に合わせた付帯オプションのラインナップを充実させることにより、1回線当たりから得られる利用料金の向上に取り組みました。今後とも、当セグメントにおいては、契約回線数の積み上げによる安定的なストック型収入(ユーザーとの契約期間において月ごとに計上される収入)の確保と、新規回線獲得によるショット型収入(新規回線獲得時に一括して計上される収入)の確保により収益拡大を図ってまいります。
 これらの結果、売上高は11,849,533千円(前期比60.2%増)、セグメント利益552,280千円(前期比21.0%増)となりました。



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