マーケットエンタープライズ(以下、ME)の中古農機具は世界81カ国に向けて輸出されている。中古農機具を扱うMEグループのカンパニー、MEトレーディングの販売グループのリーダーを務める國石。MEトレーディングの前衛である、(※)旺方トレーディングに勤めた後、別のキャリアを歩み、3年半前にMEトレーディングにジョインした。旺方トレーディングを一度退職し、現在再びメンバーの一員になるまでの経緯を紹介する。後半は國石の直属の上司、MEトレーディングの統括を務める山本も登場。
(※)旺方トレーディングは、1990年に設立され、中古農機具の国内買取・販売のみならず、会員制の海外向け販売サイト「FARM MART」を通じて、買い取った農機具の約7割を海外へ輸出し、販売実績80ヵ国を誇る国内最大級の農機具貿易商社。2020年にMEがM&Aをし、旺方トレーディングからMEトレーディングへ社名変更。世界各国へリユースの農機具を届けており、拠点は鳥取と北関東の2箇所に位置する。
※組織名、肩書きは公開当時のものです。
ーーもともと旺方トレーディングに在籍してたんですよね。入社のきっかけは何ですか?
新卒で農機具の会社に2年半勤めており、そこに旺方トレーディングの社長の知り合いがいたので、お願いをして入社したきっかけです。旺方トレーディングも同じ農機具の業界で、取り組んでいる内容は違うけど、より社会貢献性の高い事業に携わりたいと入社を決めました。
ーー旺方トレーディングから転職し、再びMEトレーディングに入社するまでのキャリアは?
旺方トレーディングでは、現在と同じ(※)バンニング業務に携わっており、バイヤーに近い買取の仕事を4年半担当していました。その後運送業もやってみたいと思い、トラックの運転手に転職しました。
ところが休みも少なく、長時間労働が当たり前の環境だったので予想以上に過酷でした。月曜から勤務し、土曜の夜に帰宅できたので休みが1週間のうち、実質1日だけです。体力が持たず、当時、子供もまだ小さくて妻に負担をかけてしまっていたので、半年で退職したんです。
※輸出貨物をコンテナに詰め込む作業のことを示す。
当時のMEトレーディングの取引先に知り合いがいて、経験者を探しているということを知りました。農機具は4年半、2年半のキャリアがあったので、ゼロから始める訳ではなく、自分の力が発揮できると思いました。家族との時間も確保したかったので、自宅から通え、長時間の拘束もなく、休日がしっかり取れることも転職において大切な要素でした。それで、MEトレーディングの転職を決めたんです。
ーー現在MEトレーディングでは、どんなことに携わっているのですか?
主に中古農機具の入庫から輸入までの倉庫業務を行なっています。バイヤーが買取してきた商品の入庫管理、洗車して写真を撮り、販売にかけて売れた農機具を解体してコンテナに積めるまでの一連の業務です。欧州向けでは検疫検査があるので、二次洗車をして出荷をするまでを担当しています。
ーーバンニングの面白さややりがいはどんなところですか?
少しでも多く販売することができて、商品数をコンテナいっぱいに積められた状態で出荷するコンテナを積むのには技術が必要です。農機具の大きさによってどういう組み合わせで小物をどうやって乗せるのか、自分の計算で組み立てて行くのでそれがバチッとはまった時はまるで複雑なパズルを完成させたような爽快感がありますね。
さらに、出荷先である海外のお客様に「Good container!」と喜んでもらえた時には、達成感も感じます。日本の機械はすごく丈夫なので、30年使っても現役で使える機械がたくさんあります。外国では今でも農作業を牛で行っている国もあるので、農機具を通じて還元できると良いですね。
ーーMEトレーディングに入社後、苦労したことはどんなことですか?
現在は毎月800〜1000点の商品を受け入れ(2024年3月時点)、入荷〜出荷までの物流の整備に苦戦しました。ありがたいことに入社以降物流は増え続け、同時に世界各国のお客様から喜びの声を聞くことも増えました。しかし、オーダーにスムーズに対応するためには商品をストックしておく場所の確保が必要です。
また、コンテナに積み出荷するために、各拠点に点在している商品を効率的に探せるよう、販売チーム内で何度もミーティングを重ね、ロケーションの改善を実現しました。
今後、さらに物流は増えていく予定なので、ロケーションやオペレーションの改善を進めていきます。
スピード感を持って、従来のやり方をアップデートしていく大変さがありますが、チームの皆と共に考えた施策が実行できた喜びは何事にも代えがたいですね。
ーー続きまして、MEトレーディングの統括も登場してもらいます。上司から見て(國石は)どう映ってますか?
山本:國石は自ら「やってます」とアピールすることはしないけど、プロフェッショナルなので、出荷する上で余分な動線を極力省いていっているのがわかります。
しっかりとそれが鳥取リユースセンターで構築できているので、各センターの模範となる仕組みづくりを主体的に実践してくれています。商品の保管方法もしかり、各種オペレーションにも國石は成果を出しています。
直近では自拠点の北関東リユースセンターに赴き、メンバーと共に生産性の高い仕組みの構築に尽力しています。
ーー1月から販売チームのリーダーになり、変化はありましたか?
國石:今までは言われたことを淡々とこなすタイプでしたが、リーダーになってからはメンバー間の意思疎通をしっかり図り、コミュニケーションをしっかり取ることを心がけています。まだまだマネジメントの面では新米ですし、年上の方が多いので気を遣うことも多いですが、とにかく声かけをするように気をつけていますね。
積極的な声かけによって何かあったら相談してくれたり、新人の方でも意見を言ってくれたりしてくれることが増えてきたと思います。
山本:今回リーダーになり、社歴が長くて年上のメンバーも多いし、部署を束ねるのに苦労するだろうなと思ったんです。リーダークラスになると、(國石の)苦手な発信やコミュニケーションが必須になってくる。でも彼はチャレンジをし続けているので、部下からの信頼を得られてきています。
リーダーになったから、偉そうなことを言えば良いという訳ではなく、素直にこれをやってみようかと取り組む姿勢が良いのではないですかね。
1月から鳥取リユースセンターのリーダーと兼務で、北関東リユースセンターの倉庫内改革ミッションが重なり、北関東リユースセンターも月に1回出向しています。北関東においては知らないメンバーばかりなので、荷が重かったと思います。
それでもしっかり皆が動いてくれるのは、しっかりリーダーとしてチームを引っ張っていってくれているからではないでしょうか。
ーーリーダーとしてのポテンシャルがあった、ということでしょうか。
山本:彼は、もともと主体的により良い方法に変化させ、主体的に実践する行動力がありました。その上、メンバーへの感謝や敬意を忘れない人間性があり、(リーダーになってからは)発信力が加わったように見えます。リーダーとしての伸びしろがとてもありました。
ーー北関東リユースセンターへ倉庫のレクチャーする際に困難だったことはありますか?
國石:いきなり北関東に鳥取と同じ仕様で色々言われても、「現場の状況もわかっていないのに」と、思われかねない。ですので、北関東のリーダーやメンバーにしっかりとやり易さとやり辛さを両方に耳を傾けながら、声かけも積極的にするようにしました。その甲斐あって、北関東のメンバーとも良い関係性を築けてきています。
ーー新しい分野にチャレンジすることを楽しんでいるように感じます。
國石:人材育成やマネジメント、新しいことへチャレンジさせてもらい、さらにやりがいが見出せているなと感じます。今は業務の幅が広がり、仕事が楽しくなってきました。
山本:その言葉が一番嬉しい。プレッシャーに負けてしまう人と、そのプレッシャーのなかに楽しさを見出せている人が分かれ道だと思います。
彼の評価している部分は理解度。理解がとても早いからリーダーも安心して任せられると。
ーーリーダーに任命された時はどんな気持ちでしたか?
國石:自分にできるかな、どうかなと考えていた時に、(山本が)國石ならこういう理由でできるからと言ってくれたのが、前に進む上で大きかったです。
山本:僕は(彼に任せることを)何も不安に思ってなかったですね。
ーー二人の信頼関係も確固たるものを感じます(笑)
國石:山本は、旺方トレーディングの頃は在籍していませんでした。MEトレーディングから入社したので、最初は正直なところ「誰?」と、思っていました(笑)ところが山本の人柄もあり、仕事の相談やプライベートの話をするようになって、すぐに打ち解けることができました。
ーーMEで働く良さは何でしょうか?
國石:やはり働くメンバーの人柄ではないでしょうか。皆生き生きと働きやすそうに仕事をしています。あとは上司の山本もいいです(笑)
その上、チャレンジができ、チャンスがあれば任せてもらえる環境も魅力の一つだと思います。
ーーどんな人物がMEに向いていると思いますか?
國石:前向きであること、失敗を恐れずチャレンジすること、自分の意志を持って仕事をすること、あとは倉庫業務に関してですと体力がある人が良い。倉庫内は夏は暑く、冬はとても寒い中、冷たい水で洗車をしなくてはなりません。正直、体力がないと難しいです。
しかし、海の向こう側で農機具を心待ちにしてる人の顔を思い浮かべると奮起させられるんです。まだ取引実績がない国もたくさんありますので、色々な国に農機具が届けられたら良いですね。
山本:入社からいきなりフォークリフトを触っていただく訳ではないですし、免許は、必ずしも必須条件ではありませんので未経験でも構いません。第一は当社のグループ理念にマッチし、主体的に行動してくれそうかどうかを見ています。資格を持っていたら優遇されるぐらいですね。
そのため、世界各国に向けて農機具の出荷に少しでも関心のある方、農機具を通じてサスティナブルな取り組みに、貢献している喜びを味わいたい方にはぜひチャレンジしてもらいたいと思います。
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