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2022.07.28

「事業成長を加速させるためにはデザインのチカラが求められる」MEだからこそ実現できた記念誌制作の裏側

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ネット型リユース事業を中心にメディア事業、モバイル通信事業などを展開し、2022年4月に東証プライム市場へ上場。現在、国内16拠点・海外1拠点を構え、グループ社員450名、5社体制の企業となったマーケットエンタープライズ(以下、ME)。

2021年7月には設立15周年を迎え、2022年1月に全国のメンバーがリアルで集まる15周年イベントを開催した。MEグループの歴史、そしてメンバーのリアルな声を残そうと、デザイナー達が工夫を凝らした15周年の記念誌が存在する。

そこで今回、15周年イベントのプロジェクトリーダーとして記念誌の企画を担当した社長室 金島、記念誌のデザインを担当したデザインのチーム 井桁、関の3名がプロジェクトを振り返り、制作の裏側を語った。

制作期間はわずか2ヶ月。手にしたヒトがMEらしさを感じることができるデザインを目指していった

―― 今回の記念誌を制作するに至った背景を教えて下さい。

金島:MEでは創業時からメンバー同士が集まる機会を大切にし、キックオフイベントも定期的に開催を続けています。コロナ禍ではそういったリアルでのイベント開催ができなくなってしまったため、オンラインでの開催に切り替えました。しかし、15周年を記念するイベントは実際に集まって開催したいという思いがあり、コロナ情勢を見ながら開催日を調整してきました。

15周年イベントではこれまで歩んできた歴史を振り返り、我々が大切にしてきた想いを再確認する場だからこそ、一人ひとりの声を残していきたいと思い、ME設立15周年記念のイベントにあわせた記念品を制作する予定でした。

その企画が進むにつれて、アルバムのように手に取って見返せるものがいいよねということで、冊子にするというアイデアが生まれ、さらに当日の思いを鮮明に振り返れるようにDVDと一緒になった記念のDVDボックスを制作しよう、とアイデアが変わっていきました。

記念誌への想いは膨らみ、完成すべき期日の2ヶ月くらい前になっても議論が尽きないほどでした。そんな時、いろいろと相談にも乗ってもらっていたデザインチームから、「残していくものならもっとデザインにこだわった方がいい」と声をかけてもらったんです。

そこで、しっかりとしたものを残したいと思い、代表にもその想いをぶつけて、急遽デザインチームのふたりにもプロジェクトに加わってもらい、今回の記念誌をつくるに至りました。

15周年イベント プロジェクトリーダー 金島

井桁:認識のすり合わせや確認の時間を除くと、実際にビジュアルや構成を考えて形にする作業に充てられる時間は1ヶ月ほどしかなく、ヒヤヒヤしてました(笑)。

やはり記念品としてこだわったものにしようと思うと、デザイナー側からでないと提案できないことも多くあります。そこでデザインチーム全員でビジュアルコンセプトを綿密に考え抜き、最終的にMEの歴史や今後目指す形を表現した案にブラッシュアップしていきながら、代表との確認や調整も経て、デザインをFIXさせていきました。

関:今回は期間がタイトだったので、外部パートナーのデザイナーにもプロジェクトに参加してもらい、冊子の中面のデザインを私の方で進めていきました。

期日に間に合わせるためにも、ビジュアルコンセプトが決まる前からレイアウトを組んでいき、全体のデザインの方向性が決まり次第すぐに扉ページや各ページのデザインに着手するなど、できる作業から順に進めていきました。

また、印刷物なので試作品をつくってみると、どうしても完成品のイメージとは違うものが出てきますし、やはりこうしたい、こういう紙にしたいというのが出てくるんですね。そこでギリギリまで粘って、MEらしさにこだわって制作していきました。

デザインチーム 井桁(左)、関(右)

―― 今回の15周年記念誌の制作において、 “MEらしさ” を表現する上でこだわったポイントを教えて下さい。

井桁:完成したモノを通して、いかに「15周年という特別感」を伝えるか、また手にしたヒトに対してMEが築き上げてきた文化やDNAをどう伝えるかを、デザインチーム、代表、金島と壁打ちをしていき、制作していったのですが、特にこだわったのがボックスのデザインです。

全面に黒を用いながら、贅沢に余白を取ることで高級感を出し、中央にはMEのシンボルであるナナメのオブジェクトを穴あき加工で表現、冊子が入ることでオレンジが現れシンボルをアピールできるようにしています。

また視覚だけでなく、触覚でも高級感を感じてもらえるよう、ベルベットPPという加工を施していて、しっとりとした手触りになっている部分がこだわったポイントです。

実際の記念誌ボックスのパッケージ

関:冊子の中面に関しては、制作期間の兼ね合いから当初はシンプルなデザインを想定していました。しかし、15周年という節目での記念品であったため、MEらしさを出すための差し色やレイアウトに途中から都度変更を加えていきました。

また掲載するコンテンツもすべて揃っている状態ではなかったため、いかにデザインの統一感を保つかが意識したポイントです。シンプルな骨組みで型をつくりつつ、MEらしさを表現するグラフィックや差し色を組んでいったりと、本当にギリギリまで調整を進めていきました。

金島:こうした冊子の制作において、通常であればはじめに構成をつくり、文字数などを決めて進めていくことが当然だと思いますが、今回は逆。一人ひとりのメンバーの想いがつまった文章だからこそ、一文字たりとも消したくないし、メンバーが使う言葉をそのまま載せたいと思っていたんです。デザインチームにはすごく苦労をかけてしまったと思うのですが、そうしたこだわりを大切にしたいと思っていました。

もちろん文字数の目安は伝えていたのですが、15周年への思いが込み上げ、だいぶ長文で返答するメンバーもいて。すごく嬉しかったんですが、構成や調整が大変だったのも今となっては良い思い出です(笑)

見た目を良くすることだけがデザインではない。MEの事業成長のために、デザインの重要性を伝えていく

―― MEのデザイン組織についても伺えればと思うのですが、MEのデザインチームはどういった体制で、どのような動き方をしているのでしょうか?

井桁:組織体制でいうと、ITソリューションデビジョンの中にデザインチームがあり、現時点では3名体制のチームです。

各事業部が抱えている課題に対して、「デザインでこんなアプローチができますね」とこちらから提案するケースもあれば、事業部側から「こういったものをつくりたい」と要件が決まっているケースもあります。

また、コーポレートブランディングの領域では、ロゴのCIマニュアルなどの整備や社内報の作成、POP・ポスターの制作から写真撮影などデザインが関わる部分はすべてデザインチームの領域です。

私たちの役割はただ見た目を良くするということではなく、事業課題の解決やユーザーの幸せに繋がるデザインを生み出すこと

そのため、日々のサイト改善やリニューアルにおいても、事業部と協力しながら、事業の売上にどう繋げていくか、ユーザーのインサイトにどう訴えるべきかなどを考えながら、小さな案件でも一つひとつデザインを構築していっています。

関:また、メインとサブで担当を分けて1つの案件に対応することも、デザインチームの特徴です。個々がそれぞれの案件に対応する分業制のほうが効率的に思われるかもしれません。

しかし、私たちが大切にしているのはデザイナー間で偏った思考のアウトプットにならないようにすること、そして新たな発想や気づきを生むための対話です。

そうしたメインとサブに分けることで、スキルやノウハウが属人化することなく、視点を広げ、アプローチの幅を広げることができますし、どちらかが対応ができない状況においても、すぐにメイン担当を切り替えてシームレスな対応が可能になっています。

そして、私個人としてはデータに基づくデザイン提案を大切にしていて、ターゲットの特性や行動心理から立案した戦略をデザインに落とし込むことで、より成果の出るデザインを常に模索しています。

正解がないデザインだからこそ、自ら戦略立てて生み出したデザインから成果が生まれていくのは、やはり嬉しいですし、どこまで正解に近づけるかと非常にやりがいを感じています。

デザイナーも裁量を持って取り組めるのは主体者集団だからこそ。他の会社であれば実現できていなかったかもしれない

―― そんな組織にいるデザイナーのおふたりにとって、改めて「MEだからこそ今回の記念誌が実現できた」と思えることは何かありますか?

井桁:つくるものに対して裁量を与えてもらってデザインできる環境は、MEだからこそだと感じています。

たとえば今回のような記念誌の制作だと、やりたい表現によって予算感も変わってきてしまいますし、実際にデザインチームが加わる前と後では予算感も変わってきているわけですが、そうしたことへの理解があるのがME。

クリエイティブ側が予算を気にしていると、やはり表現できる幅が限られてしまいますから、今回の記念誌制作においても裁量を与えてもらっているからこそ、実現すべきデザインを自由に提案できました。

関:他の会社であれば「予算的に厳しい」といった決裁者からの一言で、今回のようなプロジェクトって潰されてしまいがちだと思うんですね。
しかし、MEは主体者集団と掲げているとおり、主体的になって「こうしたほうがいい」といった意見を、みんなが聞いて検討してくれる会社。そしてデザイナーにも裁量が与えられる環境だからこそ今回のプロジェクトが実現できましたし、私たちも主体的にデザイン制作に取り組めたのだと思っています。

―― 実際に完成した記念誌を見て、どのように感じましたか? また、反響はいかがでしたか?

井桁:15周年の集大成を、視覚的にも触覚的にも感じられる特別感のあるデザインに仕上がったと思います。実際に記念誌を手に取ったメンバーからも「おぉー!」と驚いてもらったり感動してもらえたりと、嬉しいリアクションをもらえていて狙い通りになったなと。

これが何の変化もない普通紙で作られていたものだったら、ここまでの感動はなかったと思うんですね。こだわりを込めてつくったからこそ、そうしたメンバーのリアクションは嬉しかったですし、私自身モノに対するデザインの面白さをあらためて気付けるプロジェクトでした。

関:井桁からもあったとおり、メンバーからのコメントで「かっこいい」「MEらしい」「指紋がつく(笑)」など、実際に見て触って感じたリアルな意見がいろいろと聞けて、メンバー全員の記憶に残る記念品になっていると実感でき、とても嬉しかったです。

また、私は入社して半年ほどしか経っておらず、はじめは事業理解も乏しかったため、率先して提案しづらい気持ちでいました。しかしプロジェクトを通じて、代表や役員のメッセージからMEの主体者精神というのを強く感じ行動に移せたと思っています。

そして世の中には仕事とプライベートを分けて考えるという方もいると思うのですが、私は仕事も人生のやりがいにしたいと思っていて、それを実現することも一つの主体者の形なんだなと。主体者だからこそ、仕事を楽しめる土俵に立つことができるのだと気づけましたし、仮にサポート役に徹する立場であっても、気持ちは主体者で一緒に同じゴールを目標を目指すことで、仕事のやりがい、楽しさを見いだせる。そうしたことに気づけたのが今回のプロジェクトでした。

金島:MEはいま新しいメンバーも多く、入社3年未満の方が半数近くいます。そのため、昔からいる私からすると社歴の浅いメンバーにも “MEグループらしさ” を表現できたなと思いますし、新しいメンバーに対して「これがMEなのか」と感じてもらえるものがつくれたのは、本当に嬉しく思います。

いまWeb上で動画が見れるこの時代に冊子やDVDで良いのかという議論もありましたが、MEは設立時から変わらず、人(リアル)とデジタルの両方を大切に考えてきました。だからこそこのタイミングであえてカタチあるものを残すことで、想いや温もりのようなものが伝わっていければいいなと思いBOXという形で表現しました。

いまでもプリントした写真をアルバムにして残すのと同じように、少し先の未来でもMEの歴史を感じ取れるようなものになったなと実感しています。

―― 15周年イベントの開催や記念誌の制作を終え、MEは次なるステージに向かっていると思います。みなさん自身が考えている今後についても教えて下さい。

金島:採用キャッチコピー「この会社はこれからがベンチャーだ」が表す通り、MEがここから更に成長と拡大をしていくフェーズです。現在は、事業も多角化し、グループ経営を推し進めている最中、さらに組織として分化が進むタイミングです。だからこそ創業当時から大切にしている「MEグループらしい文化」を残し続けていきたいと思っています。

規模が大きくなり人数が増えていけば、これまでのようなイベントを開催したりすることは難しくなるかもしれません。一方で私の役目はまさに今回の記念誌制作のように、MEグループの良さとは何か、企業として変化させるもの、残し続けるものは何かを整理して、どのような形でそれらを全体にどのように伝えていくべきかを考え、発信し続けることです。

人数が増えていっても、企業理念にもある通り主体者集団として自らが主体的に働くことはもちろん、仲間を信じ、讃え・助け合う組織文化を大切に。そして商売を心から楽しみ、Win Winなサービスを社会に提供できる組織で在り続けたいと思います。

井桁:MEのサービス認知拡大や価値提供には多くの労力と時間がかかります。さらに世の中のニーズも日々刻々と変わる中、社会に受け入れられる価値あるサービスを提供するためにはデザインのチカラが必ず必要だと思っています。

特に事業の多角化が進み、グループ経営が加速しているMEにおいて、この先20年、30年と事業を成長させていくためにはデザインのチカラが必要で、そうしたデザインの価値を広めることが目下の目標です。

そのためにも、デザインチームがあったからこの事業は成功したと言ってもらえるようなデザインをどんどん生み出していき、デザインチームもいまの3名体制から強化し、拡大していきたいと考えています。

そうしたデザインのチカラを信じている方、そしてデザインを通じて世の中を良くしていきたいという方は、ぜひMEのアセットを使い、柔軟な思考を持って存分にデザイナーとして主体性を発揮してほしいなと思います。

関:私もデザインの持つポテンシャルは無限大だと思っています。いまはようやく日本企業の中でもデザインの価値が認知されてきていますが、これまでデザインとは、直感的な見栄えだけが語られることが多かったと思います。ですが、いまはUXデザインのように表層的ではない体験の部分でのデザイン戦略も必要性を迫られていると実感しています。

そうしたデザイン視点を成果にどう結びつけていくか、デザイナーとして引き続きデザインの役割から重要性を伝えていきたいと思います。

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